「超」入門 失敗の本質
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元々、「失敗の本質」という本があるらしいんですけど、それをもっと簡単にして要約してくれたのがこの本だそうです。
簡単に言うとこの本は、
「日本がアメリカに負けた…
その原因って、現代にも通じるところがあるよね~ 反省していこうね~」
という話です。
私は第二次世界大戦の話が好きなんですよね。
ちなみに三国志とかも好きです。キングダムも好きです。
戦争の話って現代の企業やいろんな組織に通じるところがあって、結局何かの目的を達成しようと人が集まれば、人間関係や組織のことが問題になってくるんだと思ってます。
第二次世界大戦と三国志って時間的に1500年ぐらいの経過があるんですよ!
1500年の人類のテクノロジーの進化ってすごいと思うんですが、戦争・失敗・すれ違い・組織の問題って、第二次世界大戦の話も三国志の話もあんまり変わらない気がします。
つまり、テクノロジーが進んでも、人間の本質って変わらないんだろうな~。
では本題なんですが、本の内容でよかったな~ と思うことを抜粋していきます。
①戦略が大事
「戦略とはつまり指標」
というのがすごい刺さりましたね~。
日本軍が追いかける指標がバラバラだったのがよくなかった。
ノモンハン事件、ミッドウェー、レイテ海戦、インパール作戦など、大本営からの戦略がなかったのでバラバラな意思決定をしてしまったので敗北につながったという話です。
また、ホンダがアメリカでスーパーカブをヒットさせた話も例に上がります。
ホンダはもともと大型バイクをアメリカで売りたかったのですが、たまたまホンダの社員がスーパーカブという小型のバイクをアメリカで乗っていたら、アメリカ人がとても興味を持ってくれたというヒントからスーパーカブを売り出して大ヒットとなったという話です。
ただ、筆者はこれもたまたま勝利しただけで、再現方法がわかっていなければ再現できない。
体験的学習で新戦略を察知したことは再現しづらい、と書いています。(辛口だなぁ…)
再現力が大事、というのはその通りとは思います。
②ゲームのルールを変えたものが勝つ
まず、日本軍は個人技能の精錬に頼りすぎという話。
日本軍のパイロットが敵の飛行機を打ち落とせるように猛特訓しても、アメリカは敵に当たらなくても爆発するVT信管の開発により、それを上回ってしまったという話。
いや~ わかりますね。なんというか、日本人ってやっぱり精神主義というか、侍がカッコイイというか、何か一つのものを収斂してその道の達人になることが、すごいカッコイイことなんですよね。
でも現実の戦争においてはそれは大して役に立たなかったという話。(>_<)
当たらなくても爆発する、という爆弾の開発により、「がんばって敵にあてたものが勝つ」というゲームのルールが変わってしまったという話です。
日本人はこれが苦手だよね~ と言われると悲しい気持ちになりますが それをおしてこの本を読んでいるわけですから、続きを行きますとアメリカはどうしてこれができたのかというと
ヒト、技術、運用 の創造的破壊ができてたからできた、ということでした。
③新しい指標を作って古い指標をひっくり返す
②と似たような話にはなりますが、
・戦場の勝敗を決している指標を見抜く
・敵が使いこなしている指標を無効化する
ことが大事。そうしないと、やみくもに同じことを繰り返して敗北してしまう。日本軍が最初のうちは白兵銃剣主義で勝利していたのですが、そのうち巻き返されてしまった話が載っています。(´ω`)
ダブルループ学習で、そもそも問題の設定自体が間違ってるのでは、と見直すことが大事。
また、米軍はレーダーを活用して、日本軍の奇襲などを後半戦では防いだ話は有名ですが、日本でもレーダーは開発されていたそうなんですよ。しかし、海軍は
「そんなものはいらん!」
と一蹴してしまったそうで。。。今考えるともったいない話ですよね。
④人事の失敗が組織を敗北させる
迅速な行動力と勝利への執念がある人を高く評価するべし、だそうです。
この本では、日本軍では結局大きな作戦に失敗した将校も特にその後責任を取らされたりしなかったので、論功行賞がうまく行ってなかったという話が載っています。
いや~ 私も、実は人事で失敗をしたことがあります…。
人事の失敗ってなかなか取返しがつかないんですよね。
その反省を胸に刻まないといけないなと思いました。(´ω`)
⑤現場の情報を活用する
アメリカ軍の戦闘機を作った会社の社長が真珠湾まで来て、ゼロ戦と戦ったパイロットにインタビューした話などが載っていました。
ゼロ戦って最初はすごかったんですよね。「風立ちぬ」とか好きな映画です。
ただ、防火性能を高めた戦闘機、1対1でゼロ戦と戦わないようにした戦術などの前にだんだん負けるようになってしまったというのは悲しい話です。
⑤場の空気に支配されない
これも、日本あるあるな気がしますね。(´ω`)
外国にももちろんこういう場面があるとは思いますが、日本人って本当に空気ばっかり大切にしてますよね~。
ここでは、戦艦大和が沖縄に出撃するときに、そんなことは作戦としては普通に見て悪い作戦だ、と反対意見を言おうとしていた将校が、参謀に
「海軍がここまでやるんだから」
という一言を言われて、それなら仕方ないですねと一瞬で引き下がってしまった逸話が載っています。
何かを強く主張して、後で恥をかきたくない、人に合わせておけばラクという側面も感じられます。
また、例えば
「靴を脱いだ時に揃えない人はダメな人」
とかそういう少しの情報で大局を判断してしまうのはよくない、という話も載っています。
私も常々仕事の場で「空気を読むのがよくない」と思ってます。
もちろん、仕事の場で、ということであって、お葬式でいきなり大声で笑いだすとかそういう配慮のなさはよくないです。
仕事で大事なことを決める時には、コミュニケーションすること、反対意見があっても反対意見も聞くことが大事だと思います。
今はSNSとか動画で、
「ヤバい人を見抜くたった一つの特徴」
とか
「ブラックな会社を見抜くたった一つの特徴」
そういうの多いですよね!
こういうのって、こういうタイトルや中身だとPVが伸びるからこういうタイトルになっているだけなんですよね。
たった一つの特徴だけで全体を判断するのが人気なのは、簡単なことだからだし、依存性があるからなんですよ。
でも、長い目で見るとあまりよくないという話ですね。
以上なんですが、侍の話をした時にちょっと連想したことがあります。
日本のプログラマ界も、今少し白兵銃剣主義の世界に近くなってきている気がします。
「つよつよプログラマー」という言葉に代表されるように、個人技が大事、スキルさえ磨けばなんとかなるというのがちょっと目立つ気がしますね。
私自身もプログラマーですし、「つよつよプログラマー」にもなりたいという気持ちは当たり前に必要だし、組織の構成として強いプログラマーさんがいたほうがいいと思いますが、ビジネスという戦場でそれがどれぐらい大切なことなのか、一旦振り返ったほうがいいかもしれません。
いくらすごいプログラマーが何人もいても、戦うべきところを間違えていたら、結局勝利しないと思います。
ちなみに、似たような本で失敗の科学という本がありまして、こちらもおススメです!